好きなことを無理せず楽しみたい

観劇や音楽鑑賞等について思ったことをそのまま書いてます。無理せず楽しむのがモットー。

The musical TITANIC

The musical TITANIC

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www.umegei.com

 

 

ネタバレあり

 

 

 

直前までスケジュールが合うか分からなくって、見られないと思ってたので、行けて本当に良かった・・・!

テーマから泣くだろうなとは思ってたけれど、 静かにツーっと涙が流れた。

 

映画のタイタニックとは違うアナザーストーリー。タイタニックの設計士と船長と資本家が中心。

そこへ、タイタニックに夢を見て様々な階級の人々が、各々の想いを胸に海を渡っていく。

 

明確に主役がいるというよりは一人一人が主役みたいな。

処女航海に出るタイタニック号。

船を動かす乗組員のそれぞれの立場から見る航海の様子。想像以上にヒエラルキー

現代にも通じる問題や課題が見えてくる。

 

その先に待つアメリカに希望をもって乗り込む人々。

上流階級に憧れたり、身分を捨てて寄り添う恋人達、結婚をしようと約束する人、どんな仕事に就きたいか、これからどんなことをしたいか、誰と過ごしたいか。

行違ったり、誤解したり、和解したり、愛を深めたり。

それぞれの人生を乗せて船は進んでいく。

 

結末はあまりにも有名なので、一つ一つのエピソードを見るたびに胸がいっぱいになる。1幕ラストで船は氷山と接触したところで休憩に入るという鬼な構成。

どれだけの人たちが生き残るのか。生きることができるのかかたずを飲んで見守るしかできなかった。

 

まさか救命ボートが人数分用意されてないとか。

助ける命をあの極限の状態で選ばなくてはならない。そもそも選ぶなんて権限誰にもないのでは?

必ず追いかけるからと妻を、恋人を送り出す男たちが辛かった。

自分のいる場所は夫の側だと、救命ボートに乗ることを拒否する妻もいて、もう、この辺りから視界が涙で歪む。

 

ちゃっかり空いた人席に乗り込むイスメイ。何と理不尽な展開!

 

後日談までやるのかと思ったら沈没するところで終わり。

1000人以上の亡くなられた人々の名前の羅列を眺めて終わり。

 正直、最後はこれで終わり?と思ってしまった。

 

トムさんは考えて欲しかったのかな。

この出来事について私たちがどう感じるのか。現代に生きる私たちは学ぶべきことがあるんじゃないか。

パンフレットのインタビューもとっても興味深かったので是非手に取っていただきたいです。というか、パンフレットの丁重が素敵。泡が切り抜きになってて凝ってる。

 

まさかの裸の加藤和樹さんが沈んでく写真が出てくるとは思わなかったけれど(笑)

先日の写真集のアザーカットに見えてしまった(笑)

www.tvguide.or.jp

 

話が逸れた。

 

〇トーマス

開場して一番驚いたのは、既にトーマスが板についている状態だったこと。

30分間机に向かって設計しているトーマスを開演するまで眺めていられる。世界観がそこにはできていて、ドキドキしながら開演を待ってしまった。贅沢。

たまに、他のキャストがやってきて会話して去って行ったり。現実と舞台が倒錯してる。

 

加藤さんは何でこう、報われない役が似合うのだろう。

トーマスの立ち位置ってすっごく難しくて、船のことを一番知っているけれど、動かすのは船長であり、イスメイやスミス船長には口出せない。なのに、沈没するという結論を一番に判断できてしまい、その事実を告げなければならない。

もっとこんな風に設計すればよかった。沈む船の中で一心不乱に設計図に書き足しているトーマス。

船とともに死んでいったトーマス。最後甲板から落ちていくとき、何を思ったのだろう。

 

〇イスメイ

ひたすら記録にこだわり、船長や乗組員に無理を強いる役どころ。

沈没すると分かった時の、責任のなすりつけ合いのシーンは見ていて辛かった。しかも救命ボートに乗ってさっさと逃げちゃうし。

石川さんのパンフレットのインタビューにその後のイスメイのことが書かれていて、こうして人は変われるのだなと思った。

 

 

〇スミス船長

タイタニック号の処女航海で引退することを決めていた船長。

毅然たる態度をとる一方で、イスメイには逆らいきれないところや乗組員には高圧的だったり、新しい技術に対しては懐疑的だったり、やっぱり、これからの時代には取り残されているような存在だなと思った。

 

〇バレット

船の中では底辺で働く機関士。理不尽さに衝動を抑えきれない魂からの歌唱にぐっと来た。一方で通信使に頼んで、恋人に電報を送るシーンはとっても素朴で素敵。

救命ボートを漕げるとあの時答えていたら、彼の人生は変わったのかな。

 

〇ストラウス夫妻

もう、魂の在り方が尊い。こういう歳の重ね方と夫婦関係でありたい。

仕立てたドレスとタキシードに身を包んで、結婚指輪をして、ワインを飲みながら最後を待つ。生き方を自身で選んだ二人。

 

ビーン夫妻

ミーハー妻と、下町の夫。考え方の違いに喧嘩するけれど、和解して二人でデッキで踊って過ごしていたのに、最後妻だけを送り出し、夫は残る結末が悲しい。

寿命まで寄り添って生きててほしかった。

 

〇ケイトとジム

ちゃんとした仕事をして、金持ちになると野心を持つケイト、そんなケイトに向き合えなかったジム。

結婚すると乗る前に宣言していたケイトが、きちんとプロポーズを成功させてともに生きることを決める。

ジムが救命ボートを漕げると言ったことから、二人そろって生還する。最後まで一緒に生きられた二人。

 

〇チャールズとキャロライン

結婚を約束しきれずに、キャロラインを送り出すチャールズ。

幸せにしてくれと願ってしまう。

 

〇客室係エッチス

様々な人のフォローをさりげなくしてくれる。本当に仕事のできる人だなと思った。

彼も、救命ボートに乗ることはできなくて、最後の最後まで残された人々の給仕に回るプロフェッショナルさに涙です。

 

 

ひたすらに音楽が良かった。皆さん歌が上手くて耳にやさしい。

今回のキャストのサントラ欲しいな。

 

日本青年館、初めて1階に入れたのですが、音響がいい、視界がいい。とってもストレスフリーで観劇を楽しめました。本当に2階席の座席もS料金なの納得いかない。

 

その他色々思うところはあるけれどいい加減長くなってきたのでここまでにします。

本当に素敵な作品に出会えて幸せ!有難うございました。

 


ミュージカル『タイタニック』(2018)舞台映像ダイジェスト