ミュージカルジェイミー ~物語編~
EVERYBODY’S TALKING ABOUT JAMIE
大好きすぎて永遠に観ていたい作品です!!
JAMIEという舞台が最高過ぎて、毎日がHAPPY過ぎます。
最高に楽しくて、元気の貰える舞台だったので、思いの丈をつづります。
本当は、いろんな人に勧めたいのですが、この状況下で場所も池袋だし、良い噂の無いブリリアホールだったので、観てみたいかも~という層にプッシュしずらかったのが悲しみ。というか、観ようかなと気になっている層が「ブリリアか…」と嫌煙しているのを見て、どんだけだよと思ってしまった(笑)
これ、情勢が落ち着いたら別の会場で再演して欲しい。
もっといろんな人に見て、感じて欲しい作品でした。
以下は一観客が感じたものなので、これがすべてではないです。
物語について
主人公は16歳の高校生ジェイミー・ニュー。彼には一つの夢があった。
それはドラァグクイーンになること。そして高校のプロムに本来の“自分らしい”服装で参加すること。母親から真っ赤なヒールをプレゼントされたことをきっかけに夢に向かって強く突き進む思いを抱いたジェイミーだが、学校や周囲の保護者たちは猛反対。ジェイミーの夢を理解できない父との確執や周囲からの差別など、多くの困難を乗り越えながら、自分らしさを貫くジェイミーの姿に勇気と感動、そして幸せをもらえる、最高にハッピーなミュージカル!(HPからの引用)
パッと見た感じLGBTQの物語に感じられそうなのですが、それだけがメインではなかったです。
「誰だって自分らしく生きていい」「自分を大切にしていい」「他者の”らしさ”も受け止めてみよう」ということが主要なテーマだったので、いろんな登場人物のいろんなところに共感できて、一緒に泣いて悩んで、励まされて笑って、私も物語の中にいるような気持ちになれました。
元気が無い時、自分に自信が持てない時に観ると、自分のこと大事にしようって励まされるような気持になれて、心が楽になるというか。
多幸感に包まれるようなストーリーでした。
イギリスミュージカルでホリプロだったので、Kinky Bootsを意識しながら観てたのですが、(Everybody’s Talking About Jamieでもサイードがそれっぽいこと歌で弄ってなかったですかね?早口でよく聞き取れなかったから違っているかも)、価値観が2021年の”今”にアップグレードされてたのが新鮮。
そもそも2017年のイギリスのドキュメンタリーが元なので、そうなのかもしれませんが。
今まで、こういうマイノリティをテーマにしたものは、マジョリティがマイノリティを差別し、マイノリティが苦難を乗り越え、皆をアッとさせるパフォーマンスをし、皆が受け入れ大円満!みたいな、そもそもマイノリティへの無理解からの、理解というものが多かったと思います。
ミュージカルジェイミーは、皆がマイノリティの存在も知っていて、完全な理解まではいかなくても受け入れるマインドは持っている。母親のマーガレットやマーガレットの親友レイ、ヒューゴ率いるドラァグクイーンの皆様は主人公の趣向や個性に寄り添ってくれているし、クラスメートも「私は私」「貴方は貴方」「素敵なものは素敵」と、完全にマイノリティを排除しようとしてはいない。
だから、ジェイミーが自分の夢をカミングアウトしてドラァグクイーンのショーをした時、クラスメートは「すごい!」と、シンプルにジェイミーに夢中になってしまうのです。文字通り、Everybody’s Talking About Jamie。
クラスメイトのベッカとベックスが、プロムでプリティに対し「私は着ないだろうけどあなたには似合っている」と褒め合うところも、とっても素敵。
対ジェイミーだけではなくそれぞれの登場人物がそれぞれの個性を尊重しているのが、嬉しかったです。
また、単純にマイノリティ、マジョリティと二つの立場を分けるのではなく、人には誰でもマジョリティな部分とマイノリティな部分があるんだという描かれ方だと感じました。
「私のこの部分は、もしかしたら私だけなのかな?」とか、そういう不安と向き合いながら、そんな自分も自分を形作る一部だと受け入れる過程を、皆で応援するような。
ヒール役も、単純な差別主義者ではなく、行動の原理が別のところにある印象。
他人の価値観を許容するのに時間がかかってしまう人も、結果受け入れられない人も居ていいのだと思いました。
いじめっ子のディーンは、ことあるごとにジェイミーに心無いことを言動で伝えます。暴力でマウントを取らないとクラスメートも自分から離れて行ってしまうのではないか、誰よりも”何物でもない自分”に一番恐れて、寂しいって嘆いている存在に見えます。自分にないものを持つジェイミーが気に入らない。
もしかしたら、学校では威張っていても家庭では寂しい思いや抑圧された、自分を肯定できない環境にいるのかもしれない。だから、弱い立場のジェイミーを弄って自分の存在感を示したかったのだろうし、プロムで、肯定し受け入れ応援してくれる家族や知人・友人のいるジェイミーが憎らしく羨ましい。
完全に憎みきれない存在でした。
クラスにいたら嫌だけど(笑)
女教師ミス・ヘッジも、ジェイミーの”普通”に反した行動に否定的です。彼女も昔、夢を諦めた様子?
学校という場所、生徒達を守るために規範を厳守し、普通から外れ困らないよう、彼女なりの正義のもとに厳しく指導しているように取れました。
ハイヒールをいつもはいていて、生徒に褒められて嬉しそうなところを見ると、それが彼女を形作るプライドだったりらしさなのかなと思いました。仕事にやる気が出ない時、あえて気合の入った服装で出かける自分と重なって、つい応援したくなりました(笑)
ジェイミーの父親は、この物語で最後まで和解せず、物語から消えていった存在。それでもいいと思います。彼だけは前時代的な、ジェイミーの生き方を受け入れられず差別的であり、「気持ち悪い」と吐き捨てて消えていきます。
そんな人も、生きていく中ではいると思います。
全員が完全に分かり合えなくてもいい、分かってくれる人、自分を大切にしてくれる人を大切に生きられればそれでいい、そう思いました。
初見時、せっかくドラァグクイーンが揃っているのだし、ジェイミーのど派手なショーとか期待していたのですが、そういうのが一切なかったので、拍子抜けしたのです。
この物語はそこが山場ではなく、ジェイミーの自己開示と成長がメインだったということ。
Out of the Darknessでみんなの居場所と歌うのが、ジェイミーと皆が先へ進めたのだと思えました。
まとめると、どの登場人物にも「分かるかも…」と思えるところが沢山あって、考えさせられるし、最後は幸せな気持ちになれる作品でした。
自分を大事に生きていこうという気持ちになれる。
しばらく、心にヒューゴを宿して生きていくね。
この作品に出会えてよかった!
気になった事
海外ミュージカルだからか、セリフやテンポがまくしたてる感じで聞き取りにくい所があったので、個人的な好みでは、もうちょっとペースダウンしても良かった気もします。
テンポ感を優先したのでしょうか。
歌詞の翻訳もところどころ英語がそのまま残っていて、ポップスっぽいので、慣れないと置いてかれる感。
「限定物」っていうのも耳馴染みなかったのですが、私が無知なだけ…?笑
他にイメージ沸きやすいワードってないかな。
訳詞って難しいのだと改めて思いました。
長くなっているのでいったん切ります。