好きなことを無理せず楽しみたい

観劇や音楽鑑賞等について思ったことをそのまま書いてます。無理せず楽しむのがモットー。

DADDY L❤NG LEGS

DADDY L❤NG LEGS

 

 

孤児院に暮らす18歳の少女ジルーシャ(坂本真綾)は、ある夜、大学に進学し勉学を保証するという思いもかけない手紙を受け取る。
条件は、“月に一度手紙を書くこと”。
手紙の主は、その夜に見た、車のヘッドライトに照らされ、まるで足長蜘蛛「ダディ・ロング・レッグズ」のような影、まさにその人だった。
影でしか見たことのない相手だったが、ジルーシャは心を躍らせ手紙を送り続けた。
影の正体であるジャーヴィス・ペンドルトン(井上芳雄)もまた、知性ある手紙を毎回送ってくれる彼女に、惹かれていくのに時間はかからなかった。
そしてついにジャーヴィスは、影の正体であることを隠してジルーシャの前に現れる-。

 

❤キャスト❤
井上芳雄
坂本真綾

 

❤スタッフ❤
音楽・編曲・作詞: ポール・ゴードン
編曲: ブラッド・ハーク
翻訳・訳詞: 今井麻緒子
脚本・演出: ジョン・ケアード
   
装置・衣裳: ディヴィッド・ファーリー
音楽監督・歌唱指導: 山口琇也
照明: 中川隆一
音響: 本間俊哉
ヘアメイク: 宮内宏明
ピアノコンダクター: 林アキラ
舞台監督: 宇佐美雅人
演出助手: 末永千寿子
プロデューサー: 小嶋麻倫子

 

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もうね、すっごく心がぎゅってなる話でした。時間が経つにつれてしんどいというか、何とも言えない気持ちになるというか。

心があったかくなるし、人恋しくなるし、人が好きになれるような、そんな物語でした。

 

 

ジルーシャ@坂本真綾さん

彼女の歌声が好きで、菅野さんとのタッグも好きで、CDやDVDでずっと聴いてて、本当に本当に大好きな人。

柔らかくて心に染み入る歌声、でも芯がある感じ。ずっと聴いていたい。

直接歌やお芝居が見られただけで感動です。


ジルーシャという一人の少女が、あしながおじさんとの関わりをきっかけに、知性を得て、沢山の経験をし、愛情を知り、女性へと成長していく姿が鮮やかでした。凛とした様子と愛らしさが共存していて、本当に素敵。

 

ある日突然あしながおじさんから目をかけられて、教養を得るために大学へ進学できるようになったジルーシャ。彼女の魅力は、好奇心があり、あれこれ想像しながら、情緒豊かに日々の生活を綴ることが出来るところ。

手紙に「愛」という言葉を綴った時、私はあしながおじさんに父性を求めているのだと感じ、その視点でずっと見ていました。

そこからジャーヴィスとの関わりの中で、異性としての愛に変わっていくところが、違和感無かったです。というか、ジルーシャは色んな愛を向ける先があしながおじさんしかなかったのかなと。親愛も、父性も、愛情も全部あしながおじさんに向けるしかなかったのだと思いました。

ずっと独りだったジルーシャが恋人や、家族という愛の対象を手にすることができた。もう、胸が一杯です。


三時間近くひたすら歌にのせて手紙のやり取りをしている、しかも舞台にずっと出っぱなしなので、水も飲まずに。本当に凄かったです。



ジャーヴィス@井上芳夫さん

こういうヘタレな大人を演じるとピカイチな気がしてしまうのは私だけでしょうか(笑)本当に愛くるしい存在でした。

できる男、というかできる男でありたいジャーヴィス。器用なようで不器用。きっと、家族の中でも異端扱いでからに閉じ籠っていたのかもしれません。それを、ジルーシャが外の世界への興味を手紙という形で持たせ、思わず見に行かざるを得なくさせてしまうのが、本当に面白い。


相手を思って助けたいと思う心。慈善事業はきっかけが何であれ殆どが善良な心から生まれる行動だと思います。でも、「感謝という壁を作る」という言葉に、ズシンときました。

私自身、仕事柄人を支援する立場で、いつもクライエントと関わるとき悩む部分です。感謝を押し付けていないか、本当に対等な視点で相手に寄り添っているのか、自分が知らず知らずに優位に立っていないか、相手を傷つけていないか。


そんな葛藤を壊すように、ジルーシャがジャーヴィスの支援で得た知識で作家となり、仕事を持ち、今まで受けてきたお金を返すという方法で関係性を少しでも対等(という表現でよいものか)に近づけようと努力してくれたこと。そこでようやく真実を明かす決意がもてた。


ジャーヴィスは本当に動き出すまでが不器用でまどろっこしい。でも、精一杯ジルーシャに思いを伝えているところに、つい笑って許したくなってしまう、そんな愛すべきヘタレだと思いました(笑)




音楽も台詞回しもとても魅力的で、あっという間の3時間。見に行けて良かった。

人にも是非進めたい作品です。